問題店員×クレーム客の仁義なき攻防BL!?『後は野となれ山となれ』おきぬさんインタビュー
2026年5月19日

「うまそうな体の男が来たと思ってな………」「こっっっっっっっわ!!」
――コンビニのカウンター越しに放たれた一声。クレームを入れに来た笋住周に、店員・茸屋 直は一切悪びれない。気づけばハイテンションな言い合いに発展する2人。そのやりとりがどこかクセになる、コメディBL『後は野となれ山となれ』。
今回は、この唯一無二のコンビを生み出した作者のおきぬさんを直撃。キャラクターや創作へのこだわりをお伺いしました。さらに、街頭インタビューに現れた笋住と茸屋の意外なプライベート回答も必見です!
ーキャラクターそれぞれの「フェチポイント」や、こだわりのパーツはありますか?合わせて、おすすめのコマやページがあれば教えてください。
笋住フェチポイントは、年上の振る舞いをしているときとかですかね。こだわりのパーツはアホ毛です。茸屋フェチポイントは、ポーカーフェイスな所! こだわりのパーツは左耳のピアスと、筋肉全般です。

『後は野となれ山となれ』1話より
2人に共通してこだわっているパーツは、首筋と前腕の筋肉、手の甲の筋です。一番筋肉が露出しやすく、男性らしさが表れやすいので、気を付けています。
おすすめのページは、笋住だと第32話の4ページ目、「ちゃんと責任は取る」の所です。普段とかなりギャップがあるかなと。一見性的なことを感じさせない男が、ゴムを片手に経験豊富さをにじませる……。これが個人的にエグいです。

『後は野となれ山となれ』32話より
茸屋だと第28話2ページ目、スーツ姿の所です。私自身がお気に入りというよりは、読者さんが好きそうだなと。個人的には、第30話9ページ目、「俺はお前に本気だからな……」の所も好きです。

『後は野となれ山となれ』30話より
あとは描きおろし限定にはなるのですが、焼肉回とかも好きです。
ー「このシーンだけは絶対に譲れない!」というお気に入りの場面を教えてください。
やべ……さっき答えちゃった……。第32話は、マジで本当に一番お気に入りの話です。
笋住が茸屋にキレている話です。私は人がキレている所が本当に好きで……。
6-7ページにかけて茸屋に馬乗りになって怒鳴っている笋住、何度見ても頭がおかしくなります。普段口が達者で何を言われても即座に言い返せるタイプの男が、実力行使に出るというのが……。第31話の11ページ目で、いよいよ言い返すことも出来なくなった笋住とか、好きですね。初期の激しい言い合いをしていた二人から考えると、大分変わったなと思います。
ーキャラクターを描く際に、一番大切にしていることは何ですか?
「生きている感」ですかね。
このキャラクターだったらこういう言葉を使うな、表情を使うな、仕草をするな……という、描き分けをしっかりすることとか。「キャラが立っている」「実在感がある」と言って頂けることが多いので、嬉しいですね。
また、「第4の壁」を破らせないことです。観客を認識したり、接触を図ろうとしたりさせないことです。2人は2人の世界で普通に生きているだけなので、画面のこちら側に干渉させないようにしています。そしてこのこだわりのせいで何度編集さんを困らせてきたことか……笑。
特にイラストで読者目線の構図を取りにくいので、厄介な場面もありますね。けどそれもまた、キャラクターの「生きている感」に繋がる重要な要素だと、私は考えております。
ーおきぬ様ご自身が思う「BLの魅力」とは何でしょうか?or はじめてBL作品に触れた時の衝撃を教えてください。
私が初めてオリジナルのBL作品に触れたのは、中学生の時でした。読んだ時、「これは自分のことだ!」と思いました。なぜなら当時、同性の友達に片思いしていたから……。同性同士ということもあり思いは実らず、最終的に酷い形で絶交になってしまったんですけどね。おい、見てるかあの時の友よ!笑。
つまり私にとってBLとは、特に「同性愛」という点で、自分事の物語です。かなり現実的な物語です。だからこそ、百合も描くんですけどね。
そして私はかつて、男性になりたいという気持ちを強く持っていました。トランスジェンダーという程ではありませんでしたが、その時の気分次第で女性にも男性にもなれたらなと思っていました。そういう経緯があるので、ある種の男性への憧れをBLには込めがちです。
総合すると、同性愛としての没入感を得たり、男性への変身願望が満たされたりする所、この両方がBLの魅力かなと思っています。このようなことを言うと、私の作品が読みにくくなっちゃいますかね?笑。でもどんな形であれ、自己投影の無い作品制作は無いと思うんですよね。
ただそれはそれとして、笋住や茸屋はじめキャラクターはキャラクターとして、私とは離れた一個の存在として成り立っていると捉えて頂けたら嬉しいです。
ー執筆中、気分を上げるためのルーティンはありますか?or ネーム(プロット)が行き詰まった時はどうしていますか?
気分を……上げるためのルーティン……!!?? そんなものは無……いや、ある。探せばある。きっとある。
とは言え私の場合、作業は淡々と進めています。
単純に〆切から逆算してスケジュールを立てて、その日やらなければならない作業量をこなすだけですね!!笑。逆に、落ち込んだり体調が悪くなったりすると影響が出ます。作業が進まなくなると困るので、体調をコントロールするためにある程度食事に気を遣ったり、運動を取り入れたりしてます。
あ、日課の散歩は気分が落ち着きやすいかもしれません。有酸素運動が集中力の維持に効果的と聞きますので、ほぼ毎日欠かさずやっています。自然を浴びるとリラックス効果もあるとか。実際、植物や虫が好きなので、季節の変化などを感じながら散歩するのは好きですね。Vtuberさんのコンテンツを観て元気を出すこともあります。
作業が行き詰った時は、参考資料を読んだり観たりして、考える材料を増やします。作品鑑賞をしてアイデアや表現方法を収集したり、制作論を学んで組み立て方を考え直したり。行き詰まる時は、現状の自分をアップデートする必要がある時なので、出来るだけ自分の外部から色々取り入れようと試みます。もしくは外に繰り出して、人間観察とか。そこから制作のヒントを得たりすることも多いですし、気分転換にもなります。
あとはやっぱり、読者さんからの応援がモチベーションの源です♥♥♥♥♥♥♥♥
5月某日、街中を歩いていた笋住と茸屋のもとに忍び寄る影――

ー2人はGWは何をして過ごしましたか?
笋住「普通に仕事してましたね。大抵休暇は人が足りないんで。……直は?」
茸屋「……」
笋住「おい、答えろ直」
茸屋「……バイト。あと大学の課題」
笋住「だよなぁ。……あ、あれだ、こいつと遊園地行きました。お化け屋敷行ったりとかティーカップ乗ったりとかして……いや健康関係無いっすね笑。でもこいつは筋トレとかよくやってますよ。こいつに聞いた方が良いかも」
ー2人の子供の頃の夢は?
笋住「え~~、何だろう、本屋さんとか? あんまり夢を持てる環境じゃ無かったんすよね。……ほら、直も」
茸屋「覚えてねぇ」
笋住「思い出せ。このご時世にティッシュ15箱は大盤振る舞いだぞ」
茸屋「この質問健康関係無いだろ」
笋住「良いから!! 捻りだせ、何かしら!!」
茸屋「……演歌歌手」
笋住「適当言いやがったこいつ……」
ーコスプレさせるなら、相手にどんな格好をしてもらいたいですか?
茸屋「いや今度こそ関係無いだろどこが健康法なんだ」
笋住「きっと何かしら繋がるんだ黙って答えろティッシュの為だ!!」
茸屋「答えるにしてもこの”相手”って誰だよ。周で良いのか?」
笋住「は!?」
茸屋「良いんだよな?? そうだな~~この前は狼になってもらったからな~~?? 次もああいう感じが良いかもな~~!!」
笋住「おい黙れ」
茸屋「あの時何つってたかな~~?? “オレを狼にした覚悟は出来てるか”」
笋住「黙れ~~~~!!!!」


ポーカーフェイスな問題店員と、口では負けない負けず嫌い。2人の距離が、じわじわと縮まっていく様子に思わず目が離せません! 物語の続きはぜひ本編でお確かめください!
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